光学顕微鏡と引張ステージ
光学顕微鏡に装着可能な引張ステージは、材料科学分野において、ミクロレベルでの特性評価に不可欠なツールです。本装置を用いることで、引張試験中の試料の変形挙動をin-situで観察することが可能となり、材料の破壊に至るまでの過程を詳細に解析することができます。特に、複合材料やナノ材料など、微細構造が材料特性に大きく影響を与える材料の評価に有効です。
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顕微鏡と引張ステージを設置
引張ステージは、以下のもので構成されています
- 1引張ステージ本体
顕微鏡のステージの上の配置します。
- 2ステージコントローラー
中央青色の筐体。モーターを制御し引張荷重を掛け、ひずみゲージからひずみの変化を測定します。外部入出力I/Oに対応しており、同期制御も可能です。
- 3制御PC
ステージコントローラーの制御、荷重-偏移曲線を表示します。
- 4ケーブル類
PCとステージコントローラーとの接続用、ステージコントローラーと引張ステージとの接続用、電源ケーブル(AC100V)
天然ゴム、紙、CFRPを顕微鏡で観察
顕微鏡を用いて、3つの試料の引張試験中の変化を観察しています。
- 1.天然ゴムの破断と伸縮の様子
- 2.紙の破断の様子
- 3.CFRP(炭素繊維強化とプラスチック)の破断の様子
天然ゴムの破断、伸縮 1秒~
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顕微鏡で観察すると、劣化が進んだゴムでは、分子鎖の切断や架橋構造の変化などが確認できます。これらの損傷は、ゴムを引っ張った際に空隙を生じさせ、その結果、強度低下や弾性率低下を引き起こします。
紙の破断 47秒~
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紙の繊維が裂け始め、破断していく様子を観察することができます。
CFRP(炭素繊維とプラスチックの複合材)の破断 1分5秒~
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平織CFRPが破断していく様子が確認できます。
まとめ
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、新しい材料として注目されており、その優れた比強度と比剛性から、自動車部品、航空機部品、パソコンの筐体など、さまざまな分野での適用が広がっています。しかし、複合材料特有の疲労損傷メカニズムや界面剥離といった課題も指摘されており、信頼性向上に向けた研究開発が進行中です。現在、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、レーザーラマン分光顕微鏡などの先端分析手法を用いて、ミクロレベルでの構造解析や劣化メカニズムの解明が進められています。
引張ステージの活用事例集
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