水分計とは、物質の中の水分量を測るための計測器です。
たとえば、木材やコンクリートのような建材にどれくらいの水分が含まれているかを知ることは、建築物の安全面から考えてもとても重要なことは理解できます。
また、まったく違う観点では、食品中の水分量を知ることも重要です。
食品は水分量が少なければ少ないほど菌が繁殖しにくく、長期保存が可能となります。
このように、さまざまなものに含まれる水分量を知ることは、人の暮らしをよりよくするために必要な手段です。
ここでは、物質の水分量を知ることができる水分計について、おすすめの製品も含めて解説します。
水分計とは
水分計は、物質に含まれる水分量を測ることができる機器です。
物質と一言で言っても、世の中にはありとあらゆるものが存在し、そのあらゆるものの中にどれだけの水分が含まれているかを知るためにあります。
水は気体にも液体にも固体にも存在しますが、物質の中にある水分は目視できません。
物質の状態を知るためには、そこにどれほどの水分量があるかを知る必要があります。
たとえば、コンクリートやモルタルといった建築素材は、水を加えて練ることではじめて使えるようになります。
実際に建築物として使用する場合には、含まれる水分量があまりに多いと脆くなり危険です。
木材も同様に、水分量が多いと乾燥の過程で反りや曲がりが発生し、用途に適さなくなるリスクがあります。
また、食品の保存にも水分量は大きく関係してきますし、あらゆる製品を加工する場合、保存する場合、使う場合に水分は深く関係し、クオリティを左右するのです。
そのため、特定製品には国の基準が設けられ、許容される最大水分含有量を法的に定めています。
人にとって水は欠かせないものですが、社会インフラや食品、医療品などあらゆる製品において、水分量を適正に維持するためには、正しく測定する技術と計測器が必要です。
-
《おすすめ》簡易水質計器(ポータブル水質計)8選!PH計の選び方。
簡易水質計器(ポータブル水質計)はpH計として知られており、プールや河川、工場排水や農地などの水質調査に用いられている計器です。持ち運びが簡単なコンパクトサイズの機器が多く、ハンディ型、卓上型、定置型 ...
水分計の原理とは
水分計で水分量を計測する場合、主流となる方式には電気式と光式とがあります。
原理についてまとめてみましょう。
電気式
絶縁体も水分を含むと少量の電気を通すようになります。
電気式はこの性質を利用し、対象物質の抵抗の程度から水分量を計算する原理です。
対象物の厚みや比重などに影響されるため、物質が大きいほど容量変化が大きくなるという特徴があります。
光式
赤外線を使用するタイプが多く見受けられます。
対象物に吸収される光の量で水分量を測定できる近赤外分光法は、対象を傷付けずに測定が可能です。
表面に現れる化粧板などの建材や食品、加工品などのモニタリングに用途があります。
物質が含む水分量が多いほど、反射して返ってくる光の量が少なくなります。
水分計を活用する意義
国によって含水率の許容範囲が定められているものもありますが、そうでなくても物質の水分量をチェックすることは重要です。
実際に水分計が使われている分野には、木材やコンクリート、モルタルなどの建材のほか、オイルや穀物、乾麺といった食品類、医薬品や紙など実にさまざまな分野があります。
なぜここまで水分量を把握する必要があるかといえば、水分量が製品の品質を大きく左右するからにほかなりません。
水分計であらかじめ確認しておけば、加工後や出荷後に発生するトラブルのリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
特にオイルの分野では、潤滑油や油圧作動油に含まれる水分が、ひいては機械設備全般の寿命にも多大な影響を及ぼします。
水分が多ければサビなどが発生し、経年劣化を早めるリスクがあるためです。
水分計による水分量の数値把握は、目の前の製品の品質管理に関係するだけでなく、事業全体に関わる重要な作業であると言えます。
水分計の種類
水分計にもさまざまな種類や製品があり、対象物によっても選び方は変わります。
サイズも価格も異なりますので、それぞれ見ていきましょう。
電気抵抗式
物質の抵抗で水分量を測定します。
物質によって異なるため測定器かプローブを変える必要があり、木材用・モルタル用・紙用など種類が細分化されているのです。
同じ物質でも加工や薬品処理がされていない場合を測定する必要があります。
赤外線式
物質の表面しか測定できません。
ただし、設置が簡単で、紙など薄い素材の測定には適しています。
ハロゲン水分計も同じく赤外線を使用しますが、赤外線式水分計よりも速く測定可能で温度コントロールも簡単です。
ただし、その分価格が高いです。
マイクロ波式
電子レンジなどと同じように、電磁波を利用した測定器です。
物質にマイクロ波を当てて、水分が熱に変わった量を計測します。
測定物質の比重や厚みをあらかじめ設定すること、装置が大型になることがネックですが、電子レンジでもわかるように、物質の中心部までしっかり測定したい時に活躍します。
静電容量式
対象物質に電気を流して、電気容量の変化を測定します。
計測中は確実に接触していなければならないため、センサー破損のリスクは否めません。
ただし、物質内部数cmの深さまで測定が可能で、測定スピードも早いです。
小型で携帯しやすいタイプが多く、価格もリーズナブルです。
加熱乾燥式
対象物の一部分を加熱して乾燥させることで、乾燥前と後の重量差から水分を求めます。
熱源にはハロゲンランプやマイクロ波が使用されます。
ただし、物質によっては水分以外の蒸発物質も測定してしまう可能性があるのです。
また、対象物の一部を切り取る必要があり、物質の破損は避けられません。
測定時間が短いことと、測定器のサイズが小さいことがメリットであり、食品などの測定には適しています。
中性子式
主に研究所などで使用されているタイプです。
中性子の使用には放射線管理区域指定と放射線主任技術者が必要となるため、一般的ではありません。
配管や建築資材なども、建設されたままの状態で測定できます。
カールフィッシャー
カールフィッシャー反応と呼ばれるものを利用している水分計です。
試薬が必要で価格が高く、測定にも長い時間がかかりますが、高度な測定が可能です。
主に企業や研究室で使用されています。
水分計の選び方
前述した水分計の中からどれを選ぶかは、いくつかの考え方があります。
測定したい対象物質が決まっているなら、それに最適なものを選ぶのが良いでしょう。
穀物の測定には加熱乾燥式水分計
穀物の水分量は、加熱乾燥式水分計で測定されるのが一般的です。
理由は一度に大量の測定ができるためで、米や麦などに広く活用されています。
土壌の測定には電気抵抗式水分計
土壌に直接差し込むだけで水分量がすぐに表示され、小型で携帯しやすいため広く活用されています。
農業の現場などで選ばれやすいタイプです。
コンクリート・モルタルには高周波容量式水分計
コンクリートなどの建材は水分量が適切でないと、内部で蒸発した水分が空洞を作り、破損の原因になります。
こうした現場では高周波容量式水分計が使用されることが多く、測りたい部分に押し当てて計測するのです。
片手でも操作が簡単で画面にすぐ結果が表示されます。
木材や紙・ダンボールには電気抵抗式水分計
伐採木を木材として使用するためには、長年の乾燥が必要です。
多くの場合、木材の数ヶ所に針を刺して水分量を測定する電気抵抗式水分計や、木材の表面に密着させて表面の水分量を計測する水分計を使います。
紙やダンボールにも同様に使われます。
おすすめの水分チェッカーをご紹介
それではおすすめの水分チェッカーを紹介します。
用途に応じて5種類のセンサーがあります。
佐藤計量器 水分チェッカー SK-960A TYPE1
TYPE1
センサ部:φ2×3mm 先丸
農産加工品、麺類、菓子類、粘土、水産加工品など多目的タイプ
佐藤計量器 水分チェッカー SK-960A TYPE2
TYPE2
センサ部:φ2×3mm 先トガリ
干し芋・干し魚など、肉厚の薄い試料の内部測定用
佐藤計量器 水分チェッカー SK-960A TYPE3
TYPE3
センサ部:φ2×12mm 先トガリ
畳など、肉厚の厚い試料の内部測定用
佐藤計量器 水分チェッカー SK-960A TYPE4
TYPE4
センサ部:φ2×25mm 先丸
土壌など、やわらかい試料の内部測定用
佐藤計量器 水分チェッカー SK-960A TYPE5
TYPE5
センサ部:クリップ
麺類など、測定ごとに厚さが異なる試料用
まとめ
物質の含有水分量を把握することは、品質を管理するうえでとても重要です。
水分計はコンパクトで携帯に便利な気軽に使用できるタイプも多くなりました。
対象物によって最適な機器は変わりますが、現場で使用しやすく正確でスピーディーなものを選ぶのが一番です。
それぞれの水分計の特徴を理解し、対象物に合わせて最適な水分計を選んでください。
-
PHメーター(ポケットタイプ)のメリットや使い方について
水耕栽培のPH値を管理したい、熱帯魚の水槽のPH値が知りたい、飲み物のPH値を知りたいなど、農家などの事業者から一般の方までPHが気になることがあるかと思います。 そんな時、気軽に使えるのはPHメータ ...