小型引張試験機は、材料開発の基礎研究や評価検証のために重要な試験機です。
使用用途に合わせて最適な試験機を選定する必要があります。
小型引張試験機は、それぞれにユニークな特徴があります。
ここでは、おすすめの小型引張試験機5選をご紹介していきます。
三弘 その場観察用応力負荷試験機 ISL-T300/S500(その場観察用応力負荷試験機)
その場観察用応力負荷試験機はユニークな製品名ですが、名前の通り、応力負荷時のその場観察が可能となる画期的な試験機です。
この試験機は、「結果を見る」から「経過を観察へ」をコンセプトにしています。
今までは結果から原因を推測していましたが、これからは「試験中に顕微鏡や分析装置等の観察手法と組み合わせる」ことで「変形・き裂進展の過程や破断の瞬間を捉える」ことが可能となりました。
小型・両開き構造・真空対応・透過対応(観察窓あり)・Windows対応ソフト
手のひらサイズの超小型設定で顕微鏡や分析装置との組合せが容易にできます。
試料チャック部を両開き構造とし、それにより観察中に試料中心部のずれを大幅に軽減することができます。
真空対応モデルがあり、電子顕微鏡(SEM)との組合せも可能です。
試料取付部の真下に観察窓があり、偏光顕微鏡等との組合せも可能です。
Windowsパソコンに対応した付属のアプリケーションがありパソコンから試験条件の設定やデータ表示・保存等が簡単に操作できます。
用途に合わせた改造可能
特注対応をしており、標準モデルからの各種改造にも対応してくれます。
たとえば、ロングストローク対応や試料に合わせたチャック部分の改造や低荷重ロードセル対応など、使用用途に合わせたきめ細かい改造対応が可能です。
DEBEN社 小型引張試験機
その場で引張・圧縮の応力負荷試験と試料観察を実現できる試験機です。
超小型構造で、顕微鏡などの観察装置をはじめ、X線回折やXRM・X線CT(断層撮影機)、AFM・SPM(原子間力顕微鏡)といった装置内部にも納まります。
また、単独で卓上でも使用できますが、小型・軽量で移動もしやすいため大型試験場などに持ち運ぶことも可能です。
大気環境・真空中・液体中といった環境下で、加熱・冷却、3点・4点曲げの試験などもできます。
両開き構造
試料チャックの両端が同時移動で、観察点のドリフトが少ない構造となっています。
電子顕微鏡用途で開発されました。
引張速度は多段階でソフトウェア制御設定をします。
オプションギアで引張・圧縮速度のレンジを変えることも可能です。
ロードセルが選べる
一台の小型引張試験機で、複数のロードセルを交換できます。
※一部オプション:適切な最大荷重をサンプルに応じて選び、試験精度が得られます。
使いやすい専用ソフト
Windows対応のGUIを多用した引張試験専用ソフト【Microtest】を全モデル共通で提供しており、試験が容易にできるようサポートしてくれます。
閾値を設定し、繰返し(引張・圧縮)サイクルモードや一定荷重モード、モーター停止しての計測継続モードなど自動で試験を行い、測定結果は専用ソフトだけでなく、EXCEL互換ファイルで保存も可能です。
アクロエッジ その場観察用引張試験機 Stency
小型でその場観察ができる引張試験機です。
試験機駆動部の大きさが150mm×250mm、重さが1kgの小型・軽量な試験機で、分析機器への組込みも可能です。
希望サイズに合わせて設計
センタ―ストレッチができ、分析機器への組み込みも小型のため可能です。
たとえば、X線装置や光学顕微鏡、画像検出装置への組み込みなどができ、分析現場での試料ステージをセットできます。
希望のサイズでの設計をお願いできます。
評価試験対象が広い
プラスチックスやゴムなどの高分子化合物をはじめ、各種シートやカーボングラファイト(炭素繊維)など、静的強度測定が可能です。
薄膜や生態など繊細なサンプルの測定もできます。
Kammrath&Weiss社 バルク材料力学試験デバイス
SEM用に開発されており、5,000Nまでの力を0.1~20μm/secで制御可能な引張試験デバイスです。
オプション機能が充実
オプションとして、圧縮試験や折り曲げ試験、サンプルの加熱・冷却などの機能を追加できます。
EBSD(EBSP)解析にも対応しており、一部のAFM、光学顕微鏡でも使用できます。
井元製作所 小型材料試験機 90FD
小型の万能試験機で、プラスチックの一般的な材料試験とされる引張試験や圧縮試験や3点曲げ試験ができ、応力やひずみ曲線を求められます。
クリープ試験や応力緩和試験ができるのも便利です。
引張・圧縮速度は0.01~250mm/min、ロードセルは定格容量50、100、200、500、1000、2000Nの中から希望に応じて選べます。
写真やビデオを撮れる
顕微鏡ステージに取付けることで、試験中の試料の状態を観察したり、写真やビデオに記録したりすることも可能です。
長時間の連続観察
試験片を取付けて引張りまたは圧縮試験を行うと、試験片を掴んでいる左右一組のジグは、中心軸方向に同時に移動するので観察点の位置はずれません。
そのため、長時間の連続観察が実現できます。
まとめ
おすすめの小型引張試験機5選をご紹介しました。
一つの試験機だけを見ると、いくつもの特徴があり他にない画期的な製品と思えます。
ですが、ここでご紹介した5選は、いずれも小型軽量であり、顕微鏡などの各種装置と組合せて使えるなど、応用力も高いものばかりです。
そのため、一つの試験機だけを見て飛びつくのではなく、複数の試験機を見比べることが大切です。
改造対応ができる試験機であれば、標準仕様では実現できない試験へも対応できるかもしれません。
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