日射センサーは、太陽光エネルギーの感知や測定をする際に欠かせない機器です。
気象観測、園芸、車両の空調装置のコントロールなどといったようにさまざまなシーンで用いられています。
近年は、農業の分野でも、日射センサーを有効的に活用するケースが増えてきました。
また、この日射センサーと混同されやすい機器として照度センサーが挙げられます。
両者の違いがよくわからないという方もいるかもしれません。
そこで、本記事では、日射センサーや照度センサーの特徴に触れたうえで、両者の相違点について解説していきます。
日射センサーとは?
最初に、日射センサーの主な特徴や搭載機能などについて見ていきましょう。
日射センサーで測定できる日射量
日射センサーは、日射量を測定するために用いられている測定機器です。
日射量というのは、太陽から地球上へ毎日降り注がれている放射エネルギー量のことです。
この日射量には、直達日射量(Direct Normal Irradiance)、散乱日射量(Diffuse Horizontal Irradiance)、全天日射量(Global Horizontal Irradiance)などの種類があります。
直達日射量は、太陽光の球面から観測地点へ直接到達する太陽放射エネルギー量のことです。
散乱日射量は、雲の粒子や大気中の成分によって、散乱しているものや反射しているものを測定したものです。
全天日射量は、直達日射量と散乱日射量を合計した値を指しています。
これらの日射量のうちで、日射センサーで測定が可能なのは、直達日射量と全天日射量のみです。
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日射センサーの構造や仕組み
日射センサーの大まかな構造は、「センシング」、「電源」、「マイコン」の3つです。
フォトダイオード、フォトトランジスタなどがセンサーに組み込まれており、そのセンサーが太陽光の熱などを感知すると電気信号に変換されて、日射量が測定できる仕組みとなっています。
日射センサーの形状は、測定する日射量の種類によって異なるのです。
直達日射量の測定が可能な日射センサーは、筒状の形をした製品が多く出回っています。
一方、全天日射量の測定が可能な日射センサーは、ドーム型の形をした製品が多い傾向です。
日射センサーの主な機能
各メーカーからは、いろいろなタイプの日射センサーが販売されています。
各製品によって、搭載機能に違いがありますので、購入前によく調べておいたほうが良いでしょう。
よくある搭載機能は、データロギング機能、水準調整、アラート機能などです。
近年は、インターネットへの接続が可能な日射センサーも登場しています。
そのようなタイプの日射センサーは、パソコンやタブレットやスマートフォンなどに接続して、常時モニタリングができるのがメリットです。
無線接続に対応した製品を選んでおけば、離れた場所からでも、リアルタイムで測定データのチェックが可能です。
日射センサーのなかには、外部電源不要で利用できるタイプもあります。
屋外で測定する際に重宝することでしょう。
照度センサーとは?日射センサーと違いとは?
日射センサーと似たような機器として、照度センサーが挙げられます。
照度センサーは、周囲の明るさや暗さなどを感知するセンサーのことです。
内蔵されたセンサーが明るさの変化を感知すると、照明装置やディスプレイの明るさを自動で調整することや電源のオンオフなどを行うことができます。。
私たちが日ごろから利用しているスマートフォンやタブレット端末などにも、この照度センサーの技術が搭載されています。
光通信や監視カメラにも、照度センサーが使われています。
日射センサーと照度センサー
日射センサーと照度センサーのどちらも、周囲の光に反応するという点では共通しています。
両者には、フォトダイオードやフォトトランジスタなどが組み込まれたセンサーが搭載されており、電流変化によって瞬時に光を感知することが可能です。
照度センサーは明るさの変化を感知する
日射センサーと照度センサーの主な違いは、感知する対象です。
日射センサーは、直達日射量や全天日射量などの太陽光エネルギー量を測定するために用いる測定機器です。
照度センサーでは、直達日射量や全天日射量を測定することができません。
照度センサーが感知できるのは、「暗くなった」、「明るくなった」といった周囲の明るさの変化です。
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日射センサーは太陽光エネルギーの測定に用いられる
また、日射センサーと照度センサーは利用目的も異なります。
日射センサーは、どの程度の太陽光エネルギーが放射されているのかを測定する目的で使用されています。
一方、照度センサーは、室内の明るさを調整したり、画面の見やすさを調整したりなどの目的で用いられることが多いです。
こまめに電源をオンオフして消費電力を削減するといった目的でも活用されています。
農業の分野では、農作物の育成に必要な光レベルを測定することやビニールハウスや植物工場などの照明装置を調整する目的で、照度センサーが用いられることもあります。
日射センサーの活用事例
日射センサーの主な用途は、農業分野や気象データのモニタリングです。
そのほかにも、太陽光発電システム、施設管理など、さまざまなシーンで日射センサーが活用されています。
また、日射センサーは、車両のオートエアコン制御用としても欠かせない機器です。
空調装置を自動でコントロールして、車内の温度を適温に維持する役割を担っているのです。
さらに、日射センサーとIoT(Internet of Things)と組み合わせた活用事例も増えてきました。
IoTとの組合せにより農業の分野においても、日射センサーのより一層の活用が期待されています。
近年は、季節外れの猛暑日が続いたり、集中豪雨が発生したりなどの異常気象が発生しやすくなってきました。
農業従事者は、そのような環境の変化に対応しながら、農作物を栽培していかなくてはなりません。
その際に、日射センサーを活用すれば、太陽光エネルギー量の正確な測定ができますし、さまざまな分析にも活用できます。
また、日射センサーで測定したデータは、農作物の品種改良をする際にも役立つことでしょう。
さらに、農業の現場にデータロギング機能やインターネット接続機能が搭載されている日射センサーを導入すれば、設置場所に何度も足を運んで状況をチェックする手間がかかりません。
少人数でも無理なく対応できますので、人手不足や後継者不足などを解消する手段となるかもしれません。
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まとめ
日射センサーは、太陽から毎日降り注がれている放射エネルギー量を測定するために用いる測定機器のことです。
照度センサーは、明るい、暗いといった周囲の光の変化を感知する人感センサーのことです。
日射センサーと照度センサーは混同されやすい面がありますが、測定対象や使用目的などが大きく異なります。
導入前に、相違点や導入目的を明確化しておいたほうが良いでしょう。
農業の分野でも日射センサーが活用されており、異常気象への対応や農作物の収穫量増加や品種改良のほかに、自動制御装置と組合せて人手不足を解消するシステム化も進んでいます。
農業では、「照度」よりも「日射」のほうがより重要となりますので、日射センサーを導入しておいたほうが良いでしょう。
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