幼稚園や保育園、小中学校といった学校では、環境衛生の検査として水道水(飲料水)、給食(厨房)、プール水の塩素濃度(残留塩素)を測定します。
夏場にはプールがあり、残留塩素の測定は日本全国で行われています。
そんな中、新型コロナウィルス感染症対策としても塩素濃度の管理がとても重要となっています。
今回は、注目を集めている「残留した塩素を測定する方法」と、そのために使うことのできる製品も一緒にご紹介していきます。
残留塩素の種類
塩素といっても、実は残留塩素は遊離残留塩素と結合残留塩素に分かれます。
残留塩素とは、飲料水等を塩素消毒した後に残る消毒有効塩素成分で、主に次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン、クロラミンを指します。
塩素イオンは残留塩素とは言いません。
遊離残留塩素
遊離残留塩素の特徴は、即効性があって消毒効果が強いことです。
主に、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンのことを遊離残留塩素では指しています。
消毒効果も結合残留塩素に比べて強いことから、水の検査では遊離残留塩素濃度から調べるのが通常です。
結合残留塩素
遊離残留塩素に比べると、消毒の力は弱いと言われています。
時間をかけて消毒の効果が発揮されるようになり、水の消毒の役に立っています。
結合残留塩素の正体は、遊離残留塩素と水の中にあるアミン類が結合したものです。
速攻性はないものの、消毒を行ううえで大きな存在です。
そのため、残留塩素を測定する際にも、遊離残留塩素を測った後、結合残留塩素も測定して総合的に判断します。
残留した塩素を測定する方法
残留した塩素を測る方法はいくつかあります。
こちらでは、どんな方法があるのか紹介していきます。
DPD(ジエチル-p-フェニレンジアミン)法
測定対象は残留塩素ですが、試薬添加後数十秒間は遊離残留塩素と反応し(この間に測定すれば遊離残留塩素のみを測定できます)ます。
しばらくすると結合残留塩素とも反応し、遊離残留塩素と結合残留塩素(の一部)の合計値を表します。
試薬添加後「すぐ」と「しばらくたった時」の比色結果が違う場合は、結合残留塩素が含まれています。
比色結果が違う理由は、時間とともに濃度があがっていくためです。
試薬添加後、ヨウ化カリウムを少量添加することにより、全残留塩素を測定することができます。
DPD試薬の添加量が不足すると、測定値が低くなります。
添加量が多すぎて、多少溶けずに残ることは問題ありません。
説明書等に従って正しい量の試薬を添加することが重要です。
電流法(ポーラログラフ法)
測定対象は、遊離残留塩素(主に次亜塩素酸:HClO)のみになります。
遊離残留塩素は、pH値によって3つの形で存在します。
酸性域では塩素(Cl2)、弱酸性域~中性域では次亜塩素酸(HClO)、アルカリ域では次亜塩素酸イオン(ClO-)です。
pH値は一定でなければいけません。
pH値が変われば校正が必要です。
pH値以外にもサンプル水量、金属イオンといった条件を、各機器の仕様に正しくあわせながら測定することが重要です。
ヨウ素法
残留した塩素を測定したいと思っている水に、ヨウ化カリウムを加えて着色していきます。
無色化するまでに数種類の薬液を添加していかなければならないため、高価とも言われている方法です。
薬品をどの程度の加えたかで濃度を測定できます。
吸光光度法
DPD試薬を加えたサンプル水に光を当てて計測する方法です。
濁度による光の吸収度合いを見ることで、残留塩素濃度を計測することができる方法です。
おすすめの残留塩素計はこちら
カスタム 残留塩素計 FTC-01
DPD方式により、残留塩素を遊離残留塩素と全残留塩素で測定できます。
防滴仕様のため、水が飛散しても安心です。
150件の測定結果が保存でき、呼び出し機能でデータの確認も可能です。
電池の消費を抑えるオートパワーオフ機能を搭載しています。
ハンナ デジタル残留塩素テスター/遊離塩素 LR /HI 701
水中の遊離塩素の濃度を測定します。
デジタル表示でありながら手のひらサイズで、安価なため初めて購入する方にも手軽に使用できる商品です。
ボタン1つの簡単操作で安心です。
測定には公定法に基づいたDPD試薬が使用されています。
タニタ 高精度残留塩素計 EW-520
高精度デジタル残留塩素計です。
洗浄しやすい平面電極採用で、測定結果メモリー機能が付いています。(各センサー50件)
次亜塩素酸、塩素化イソシアルヌ酸測定も対応していて、完全防水(防水保護等級IP67準拠)で安心です。
まとめ
残留した塩素を測定する方法は、様々な種類があることが分かりました。
また、スムーズに測定するために「残留塩素計」と呼ばれる製品も、いくつかの会社から販売されています。
水の塩素を測定することは、健康面や安全面にも影響するためとても重要です。
この時期はプールというイベントもありますので、導入をしていない方はぜひこの機会に、残留塩素の測定や残留塩素計を活用してみてください。