日本は水道水の質がとても良い国だと言われますが、水道水を安心して飲んだり料理に使ったりすることができるのはありがたいことです。
それは徹底した厳しい管理体制で成り立っているわけですが、水は安全であることと同時に、おいしいと感じられるかどうかもポイントです。
果たして「おいしい水」というのはどういうものなのでしょうか。
もちろんどういう水をおいしいと感じるかは人それぞれです。
自分がどのような水をおいしいと感じるかを知るためには、成分に注目することが大切だと言えます。
ここでは水の成分やおいしさを調査する方法について解説します。
水に含まれる成分がポイント
水は無味無臭と考えがちですが、実は突き詰めてみると個人で好みが分かれる奥深い味わいを持っています。
また、子どものころから慣れ親しんだ土地を離れて生活を始めると、無意識にも水の味に違和感を抱いてしまう人も少なくありません。
このように水のおいしさを分けるのは、主に水に含まれる成分です。
水にはミネラルなどの成分が溶け込んでおり、それらの配分量が水の味やおいしさを変える一つの要因になっています。
もちろん、ほかにもたくさんの要因がありますが、まったく違う土地の水でも成分の特徴が似ていれば、比較的違和感なくおいしいと感じられるでしょう。
自分の好みの水の特徴を成分の面から知っておくことで、初めて飲む水でもあらかじめ自分に馴染むかどうかを知ることができるようになります。
世界の水質との違い
日本は水の安全性がとても高い国です。
もちろん水道水を飲める国もたくさんありますが、2015年の国連のレポートでは安全な水を確保できない人のパーセンテージが世界平均約9%とされていました。
人が生きるために水は絶対に欠かせないものですので、安全な水の確保は改善傾向にあります。
ただ、世界の中でも日本は水質基準がとても厳しい国で、都道府県の中には国の基準より厳しい基準を定めて管理しているところもあるほどです。
一方で、味わいに関しては、世界の水道水のほとんどが硬水であるのに対して日本は軟水です。
中には高度の高い地域もあるのですが、世界の主要都市の水の硬度が200~400というところ、東京や大阪では50くらいが平均になっています。
これは主に地形によるもので、日本は急勾配なため水が地面の中に長くとどまることがなく、ミネラルが溶け込む時間が短いことが影響していると言われています。
ちなみに、あまりに硬度が高い水では日本のせっけんは泡立ちませんし、髪の毛を洗うと軋んでしまうためバスタイムもガラッと変わってしまうでしょう。
おいしい水には要件がある?
厚生労働省の「おいしい水研究会」では、おいしい水に7つの項目を設け、おいしい水の構成数値を決定しています。
おいしい水研究会は昭和59年に発足した歴史ある研究会で、日本の水道水を分析して水質を数値で測定しています。
それでは、おいしい水を決める7つの要件と数値を見てみましょう。
1.蒸発残留物 30~200mg/L
蒸発残留物は、沸騰させても蒸発しない物質です。
主な成分はカルシウムやマグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウムなどの塩類や有機物ですが、多いと苦味や渋みなどが増すものの、適量ならコクやまろやかさが生まれます。
2.硬度 10~100mg/L
硬度はカルシウムやマグネシウムの含有量で決まります。
硬度の低い軟水はクセがなく飲みやすいですが、適度に含まれることでおいしくなります。
先ほども触れた通り、日本はいわゆる軟水のほうが口に合うと感じる人が多いです。
120mg/L以上になると硬水と言われ、かなり好き嫌いが激しい味わいになるでしょう。
普段からミネラルが不足している人にとっては、硬度の高い水は効果的です。
3.遊離炭酸 3~30mg/L
遊離炭酸は、水の中に溶けている炭酸ガスです。
多いと刺激が強くなりますが、適度に含まれると水がさわやかな味わいになると言われています。
日本には、遊離炭酸がたくさん溶けている天然温泉はほとんどありません。
中には軟水の微炭酸というまろやかな天然水が採取できる地域もあります。
4.過マンガン酸カリウム消費量 3mg/L以下
これは汚染の指標です。
水中の有機物や還元性物質を酸化させるのに過マンガン酸カリウムを使いますが、その消費量が大きい水は一般に有機物の含有量が大きいことになります。
水に有機物などの不純物が多いと、水の味が損なわれ、渋みなどが出ると言われています。
5.臭気度 3以下
水の臭いの指標です。
水源の状況によっては水にさまざまな臭いが付く場合がありますが、臭いを感じると味が不快になります。
3以下であれば通常まったく臭いを感じません。
6.残留塩素 0.4mg/L以下
残留塩素はいわゆるカルキ臭の要因です。
水道水は塩素で消毒しますので、水道水中の塩素濃度が十分であることは重要です。
ただ、この濃度が高くなると水の味が悪くなります。
7.水温 最高20℃以下
適度に冷たい水はおいしいと感じられます。
逆に言えば、おいしい水も水温が高いとまずく感じてしまう場合があるでしょう。
これも人それぞれ好みがありますが、おおむね10~15℃くらいがおいしいと感じる人の多い温度と言われています。
水の成分を調査する方法は?
厚生労働省のおいしい水研究会は、日本全国の水質を上げるために活動していますが、一般消費者も身近な水の成分を調査することが可能です。
それは、水質を簡単に測れるアイテムを利用することです。
共立理化学研究所は、水質の簡易分析技術の開発と普及を目指している企業で、独自の技術や発想で大学や他企業と共同開発し、さまざまな製品開発を行っています。
誰でも、どこでも簡単に水質検査ができれば、消費者が自分で水環境の安全を守ることが可能でしょう。
同社が発売から50年という歴史を数える「パックテスト」は、最も簡単な水質測定器として企業にも広く利用されています。
ただ、現在パックテストは70項目以上もの測定ができます。
濃度によって環境調査や養殖魚の水槽管理、河川の水質事故調査などで活用されているもの。
生産物の品質管理、農業の施肥管理などに活用されているものがあります。
行政や教育機関などでも使用されていて、信頼性もあります。
おいしい水を検査できるおすすめ商品
身近な水のおいしさを数値で見ることができるのが、共立理化学研究所の「おいしい水検査セット AZ-DK」です。
この検査セットでは、水道水の残留塩素(遊離)を測定して安全を確認したり、特有の臭いの元を数値で確認したりできます。
また、水道水だけでなく、井戸水などの全硬度(総硬度)も数値で確認できます。
日常的に使用している生活水や全国の名水などのミネラル分を数値化し、軟水か硬水かコクがあるかどうかなどを調べることが可能です。
1回分がラミネート袋に入っているので使いやすく、簡易水質検査器具としては十分でしょう。
使用法をよく読んで、正しく使いましょう。
まとめ
おいしい水を数値化することで、自分に合う水がどんな特徴を持っているかを詳しく知ることができます。
水の味には人それぞれ好みがありますし、使う目的によっては異なる特徴を持つ水のほうがより向いている場合もあります。
たとえば、作る料理の種類やお茶の種類によって、特徴の異なる水を利用するほどこだわる人もいます。
初めて飲む水や井戸水の水質が気になる時などに、手軽に使える水の検査セットがあれば、いつでも安心して水を使うことができるでしょう。