放射温度計は、物体が発する赤外線を感知し、発せられる熱エネルギーの放射量から温度を測定する温度計です。
非接触で測定できるので移動するものや回転する物体の温度計測、接触で影響を受けやすい物体の温度測定がにも役立てることが可能です。
そのため、食品業や電機・電子業、ゴム・樹脂業、自動車業、設備保全業、建築・土木業など、業界や業種を超えて、さまざまな分野で利用されています。
放射温度計の用途例をまとめてみましたので、見ていきましょう。
クッキーなどの焼き菓子やパンなどの温度管理
お菓子やパン製造などの工程で、パンやクッキー生地の冷却やオーブンの焼き上げなどの温度管理に役立ちます。
生地に直接触れることなく温度測定ができるので、衛生的で生地に無用な穴やへこみを残す心配もありません。
生焼けリスクや加熱のし過ぎによる廃棄処分などを避けるために、商品一つひとつの温度を測定したいといった時に便利です。
飴や蒲鉾など練り物の温度管理
工場などにおける飴や蒲鉾などの練り工程ではミキサーが回転しているので、接触型の温度計では温度測定はできません。
放射温度計なら非接触かつ回転している状態の対象物の温度を測定することも可能です。
衛生的かつ安全に温度管理ができます。
お茶などの焙煎時の温度管理
製茶工場などでお茶を焙煎する際、作業中の温度を常時測定し続けることが可能です。
お茶の種類や商品特性の違いによって、コントロールしたい焙煎温度や焙煎時間を管理しやすくなります。
焙煎工程では、ロースターが回転しているので接触型の温度計では測定ができません。
放射温度計は回転中でも、熱エネルギーを感知して測定することが可能です。
酒・味噌・醤油など発酵食品の温度管理
蔵人の経験則などで管理していた発酵温度も、属人化を脱却するためや職人不足や温暖化による環境の変化に対応するためには、高精度な発酵温度の管理が求められます。
発酵温度を管理することで製品の仕上がりに差が生じ、味や香りなどの品質向上が目指せます。
放射温度計なら非接触で温度を測定できるので衛生的です。
調理場など水周りの使用に適した防水デジタル温度計
カスタム CT-3100WP 防水デジタル温度計(サーミスタ方式)
家電製品の内部温度
家電メーカーなどで研究開発や出荷前の性能確認のために、内部温度の測定試験に役立ちます。
非接触で測定できるので、面倒なセッティングをする必要がありません。
家電製品の断熱や異常温度の試験をスピーディーに効率良く実施できます。
空調機の温度チェック
空調メーカーの研究開発や出荷前の性能確認に、放射温度計なら瞬時に測定が可能です。
時短で簡単に測定できるので、試験効率や作業効率がアップします。
複写機の発熱を確認
複写機の点検時やメンテナンス時、トラブル対応をする際など、異常加熱がないかを安全かつスピーディーに測定できます。
複写機の内部がなんらかの不具合で異常加熱に陥ると、機械の故障につながるだけでなく、修理時に発熱箇所を手で触れて火傷をするリスクがあるので注意しなくてはなりません。
放射温度計なら接触せずに温度が測定できるので、火傷のリスクを避けて加熱していないかをチェックすることが可能です。
トラブル対応時のチェックに使うほか、定期的な測定を行うことで、突然の故障を防止することやトラブルが生じた際の異常箇所の特定がしやすくなります。
電子部品の発熱量や異常加熱を確認
電子部品の検品や組み込み前の点検などで、放射温度計が役立ちます。
通電時の各部位を測定して、異常発熱がないかをチェックし、不良品を省くなどの検品が可能です。
電子部品の異常発熱は製品本体の故障にもつながるので、電子部品の異常発熱は未然に発見したいものです。
スポットタイプの放射温度計を利用すれば、微少な電子部品の測定もスムーズにできます。
非接触で測定できるので、基板に実装されている多くの電子部品の温度も簡単にスクリーニングできます。
ゴムの練り工程における温度管理
ゴムに可塑性を持たせるために、ゴムの練り工程の温度管理は重要で、品質にも大きく影響するものです。
練り工程中はミキサーが回転していますが、非接触で測定できる放射温度計なら、回転中でも熱エネルギーを感知して温度測定が可能です。
レーザーマーカー機能付き・小型コンパクトな表面温度測定用
カスタム IR-210 放射温度計
タイヤ生産工程の温度管理
タイヤの圧縮成形を行う際、タイヤの耐久性は加熱温度と時間が大きく影響します。
適切な温度管理ができれば、品質が向上し、製品の均質化ができます。
圧縮成型工程は時間で管理されることが多いですが、夏と冬で工場内の温度が異なるなど、環境の影響を加味することができません。
その時々の温度で加熱時間を調整できるよう、実際のタイヤ温度の測定が必要です。
放射温度計なら離れたところからスムーズに測定ができ、加工時間が最適化され、品質一定化と効率化を実現できます。
タイヤの耐久試験
タイヤの耐久試験は回転させながら実施されます。
放射温度計は非接触で動いている物体の温度測定もできるので、回転試験中の温度変化を記録することが可能です。
応答速度も速いので、一瞬の温度変化も逃さず記録できます。
耐久試験のほか、タイヤ温度と燃費の変化の実験などにも役立ちます。
自動車の塗装工程の温度管理
自動車メーカーや板金塗装業者などにおいて、塗装をする際の温度管理にも役立てることが可能です。
塗料によって乾燥温度が異なるケースもあり、実際の温度を測定しながら乾燥させることで、仕上がりの品質向上につながります。
放射温度計で乾燥時の温度を測定し、最適な温度と最適な乾燥時間になるようにコントロールできます。
非接触なので自動車のボディに触れずに済むので、塗装にも一切影響が出ません。
樹脂加工における射出成形時の温度確認
樹脂成形を行う場合、材料となる樹脂の温度と加工温度が品質に大きく影響を与えます。
最適温度かどうかの測定をはじめ、加工直後の成形物の温度を非接触で瞬時に測定することで、品質の向上や安定化に役立ちます。
配管の表面温度確認
工場内に多数設置されている配管の表面温度を離れた場所から検知することができます。
異常加熱や冷結などによって配管が割れることや液漏れするリスクを減らすための定期点検、任意のポイントの確認が可能です。
異常温度を検出することで老朽化している場所の特定、トラブルや故障、事故の未然防止に役立ちます。
電気設備の異常温度確認
工場やオフィスビルなどには大型の電気設備などが設置されています。
電気設備の異常加熱によって、設備の停止や漏電による火災、火災などリスクがあるため、異常がないかを定期的に点検することが大切です。
放射温度計は非接触で温度を測定できるため、万が一の感電リスクもなく、安全かつスピーディーに点検できます。
生コンクリートの温度測定
建設現場や土木工事の現場などで、生コンクリート練り工程時の温度を測定することができます。
ミキサーが回転中でも非接触で測定できるので、スピーディーに確認が可能です。
最適温度になるよう温度を制御することで、コンクリートの品質と耐久性の向上が目指せます。
アスファルト舗装時の温度確認
アスファルト敷設後の温度を非接触で瞬時に測定できるので、最適温度になってから転圧作業を効率良く実施できます。
タイヤローラー転圧時のアスファルトの温度は、舗装の品質を大きく影響を与えます。
温度測定を迅速に実施しながら、作業をしなくてはなりません。
作業温度を適切に管理できれば、仕上がりの品質向上や耐久性を高めることに役立ちます。
放射温度計では応答速度も速いので、瞬時の測定ができます。
非接触なので運転台からも温度を測定でき、スピーディーな作業で品質の向上と作業の効率化が可能です。
まとめ
放射温度計は物体が発する赤外線を感知して、発せられるエネルギーの放射量から温度を測定する温度計です。
非接触なので移動、回転する物体をはじめ、接触を避けたい物体の温度測定にも役立ちます。
放射温度計の用途例は多彩で、食品業や電機・電子業、ゴム・樹脂業、自動車業、設備保全業、建築・土木業など、業界や業種を超えて利用されています。