カーボンニュートラルというのは、エコ意識の高い方や地球温暖化防止の取り組みを通じてご存知の方も多いと思います。
では、カーボンニュートラルのために電力計測技術が大きく関係していることをご存知でしょうか。
この記事では、地球温暖化防止のために役立つ、電力計測技術とカーボンニュートラルの関係についてご紹介していきます。
カーボンニュートラルとは
地球温暖化が世界的に問題となっており、異常気象や海面上昇などの影響がすでに発生しています。
地球温暖化を防止するには、二酸化炭素排出量の削減が欠かせません。
ですが、私たちが現代の便利な生活を享受し、さまざまな経済活動を行っていくうえで、二酸化炭素排出量を抑えることはなかなか難しいのが現実です。
そこで、カーボンニュートラルという考えが導入されました。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素やフロンガスなどの温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによって二酸化炭素を吸収できる吸収量を差し引き、
全体的に見て温室効果ガスの排出量をゼロにするという取り組みです。
日本では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという、カーボンニュートラル宣言を2020年10月に政府が発表し、企業などの取り組みが推進されています。
カーボンニュートラルを実現するには、温室効果ガスの排出量削減と同時に、温室効果ガスの吸収作用の強化や保全対策を講じていかなくてはなりません。
電力計測技術とは
電力計測技術とは、電流や電圧を測定することで、電力の使用状況を正確に計測する技術です。
電力計測技術の基本は、有効電力と呼ばれるものの計測です。
有効電力とは運動や熱や光エネルギーなどに変換されて外部に働きかける電力値のことで、W(ワット)単位で扱われます。
家電製品などに表示されている消費電力は、有効電力と同じものです。
有効電力は、電圧と電流の瞬時値の積を平均して求めることができます。
電力計測技術は進化を遂げ、現在では高速デジタル信号処理によって電力値が求められるようになりました。
現在の電力計測機器は大きく2つの種類があり、ベンチトップ型とポータブル型があります。
ベンチトップ型は据え置き型で、さらに数字表示がメインの電力計と呼ばれる機器と、グラフィック表示ができるパワーアナライザーという機種があります。
電力計が使われる現場は、工場の生産ラインなどが主で、電力消費などを計測するために利用されるケースが多いです。
これに対して、パワーアナライザーは電圧・電流・電力の測定に加えて、さまざまな解析機能も有しているので、製品開発の現場などでのニーズが多くなっています。
ポータブル型は、持ち歩きもしやすい小型の電力計です。
小さいので搭載できる機能や能力が限られるため、ベンチトップ型に比べると高性能ではありません。
一方、どこでも手軽に電力を計測できる利点があります。
脱炭素社会の実現のために
脱炭素社会の実現に向けて、電力消費量の削減が重視されています。
省エネに向けて電力消費量を抑えるためには、まずどのくらいの電力が使用されているのかを日々計測し、対策を講じることで削減できたかなどを検証していかなくてはなりません。
後から電気代を確認して対策の実効性があったかを振り返るのではなく、リアルタイムで確認できることが必要です。
そこで、電力計測技術へのニーズが高まっています。
企業であれば、オフィスや工場などのさまざまな場所で電力計測を行い、どこで電力が多く消費されているか、なんらかの省エネ対策を実行した際に、それが有効に機能しているか、ビフォーアフターをチェックする必要があります。
電力計測技術を用い、どこでどれだけの電力を消費しているのか、まずは現状を把握しましょう。
高性能なベンチトップ型も良いですが、さまざまな場所をスピーディーに計測していくにはポータブル型も便利です。
たとえば、工場であればそれぞれの設備がどの程度の電力を消費しているのかを計測する必要があります。
複数の設備、小さな設備を計測するには、ポータブル型の計測器を使うと低コストで簡単に計測ができます。
日々の記録を取り、1日・1週間・1ヶ月などのスパンごとに平均的な電力消費量を把握しましょう。
計測結果をグラフにして見える化して分析を行います。
電力消費量が多い場所や設備はどこか、必要以上に電力を浪費している場所はないかを検証することが大切です。
そのうえで原因を考えましょう。
たとえば、最新の設備に更新している場所は消費電力が抑えられているのに、古い設備を使用しているところでは消費電力が多いといった場合、最新の省エネ機器に更新することで電力消費量が改善されるかもしれません。
そのほか、分析した結果により、稼働時間を減らしたり、工程を見直したり、設備の周囲に物を置かないようにするなど、さまざまな対策を検討することが可能です。
大変な作業ではありますが、基本的には計測して見える化し、分析、検証を行って対策を実施する、その結果を再び計測し、分析して対策を実施するの繰り返しになります。
すぐに数値が改善することもあれば、まったく改善が見られないケースなどもあるかもしれません。
PDCAサイクルを回していくことで、次第に改善が進み、企業全体として省エネを実現できるようになっていきます。
省エネと創エネ
カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量を合計して、プラスマイナスゼロにする取り組みです。
省エネを通じて排出量の減少を図れても、ゼロにできない限りは吸収量も高めなくてはなりません。
吸収量を高めるには植林などの活動が必要です。
もっとも、林業や環境保護活動などに関連していないと、植林を行うのは難しい企業も多いです。
そのため、植林をする森林所有者などが創出するJ-クレジットを購入する方法もあります。
また、カーボンニュートラルを実現するのに効果的なのが、再生可能エネルギーの創出や切り替えです。
太陽光発電やバイオマス発電などの利用は、使用する電力を、二酸化炭素排出量を増やさない再生可能エネルギーで賄えるため、プラスマイナスゼロにできます。
いずれにしても、実際に省エネできているか、再生可能エネルギーがどれくらい発電できているかを計測してチェックしなくてはなりません。
電力を正確に計測できる技術の利用が、カーボンニュートラルを実現するために大切です。
計測なら三弘
企業に課せられたカーボンニュートラルの取り組みを推進するには、電力計測技術が欠かせません。
地球温暖化防止のためのニーズに応え、さまざまな電力計測機器が開発されるようになっています。
三弘は、電力計測技術にも長けており、ニーズに合った電力計測機器の提案販売をはじめ、導入コンサルティングなども行っております。
企業や工場などに合わせた、電力計測機器を開発することも可能です。
電力計測技術を用いたシステム開発から特注機設計製作、設置後のメンテナンスサービスや受託試験に至るまで、省エネや脱酸素を実現できるようサポートしますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
世界的に問題となっている地球温暖化防止対策として、経済活動とバランスを取りながら温室効果ガスの排出量を削減する取り組みとして、カーボンニュートラルに注目が集まっています。
温室効果ガスの排出量削減する取り組みと、温室効果ガスを吸収する取り組みを合わせて、排出量をプラスマイナスゼロにするものです。
取り組みの実効性を確認するには、電力測定技術が欠かせません。
電力消費量や発電量を日々チェックしていくことで、カーボンニュートラルの実現を図っていきましょう。