水耕栽培のPH値を管理したい、熱帯魚の水槽のPH値が知りたい、飲み物のPH値を知りたいなど、農家などの事業者から一般の方までPHが気になることがあるかと思います。
そんな時、気軽に使えるのはPHメーターです。
PHメーターの特徴や使い方、メリットなどを確認していきましょう。
PHメーターとは
PHメーターとは、水や飲料、土壌など調べたい対象物のPH値を測れる計器で、簡単な方法で酸性かアルカリ性かを確認することができます。
酸性かアルカリ性かを調べるだけなら、小学校の実験でも行ったことがあるリトマス試験紙を用いる方法もあります。
もっとも、試験方法に手間がかかるだけでなく、酸性かアルカリ性かしかわかりません。
リトマス試験紙ではPHの具体的な値はわかりませんが、PHメーターなら数値までわかります。
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活用シーンやメリット
活用シーンやメリットについて解説します。
水耕栽培や熱帯魚の飼育
最近、家庭菜園がブームですが、マンションなどお庭がない方は、水だけで野菜を栽培する水耕栽培をされる方も増えてきました。
また、熱帯魚などを飼育している場合、水槽内のPHが気になる方も多いのではないでしょうか。
熱帯魚を飼育するうえでは、水質の管理が大切です。
熱帯魚の飼育を経験した方ならわかると思いますが、購入してきた熱帯魚を自宅の水槽に入れると、弱ってしまうことや、最悪の場合死んでしまうケースがあります。
これはお店の水槽や購入してきた状態の水のPHと、水槽内のPHが違いすぎることが原因の一つです。
そのため、熱帯魚を飼育されている方や水耕栽培の管理をきめ細やかにしたい場合にはPHメーターがあると便利です。
健康や口腔管理
また、健康のためや口腔管理のために飲み物のPHを気にされている方はいませんか。
歯の表面のエナメルは酸性度が高いと溶けだすと言われています。
炭酸飲料や柑橘系のフルーツジュース、スポーツドリンクなど、酸性度の強い飲み物ばかりを飲んでいると歯を弱らせる原因になります。
逆に酸っぱくても古くから体に良いと言われる梅干はアルカリ性食品です。
もちろん、PH値で飲食物の良し悪しを判断するのではなく、重要なのは栄養バランスを測ることです。
また、ミネラルウォーターやアルカリイオン水のPHを測る方も少なくありません。
ボトルにPH値が表記されているものもありますが、ご自身が飲む水ですから、本当にそのPHなのか実際のPHを知りたい方もいるでしょう。
こだわりのある方の場合、ご自身に合ったPHを探し出すということも可能です。
校正の必要性
PHメーターによる測定は、計測するセンサーや針などを対象物に挿して行いますが、正確に測るには事前に校正を行うことが欠かせません。
校正とはPHメーターの値をゼロにリセットする作業のことです。
校正を行うには市販されている中性の標準液を用いて、メーターのPH値をゼロに戻すことが必要になります。
PHメーターの仕様により方法は異なりますが、センサー部分に標準液を垂らして、付属のボタンを押すだけでゼロに戻せる製品タイプが多いです。
毎回の使用前に必ず行うようにしましょう。
また、測定を連続的に行っていると精度が低下します。
たとえば、熱帯魚店などで連続的に水槽のPHチェックを行うなどする場合は、その間にも校正を行い、常に精度の高い測定ができるようにするのがおすすめです。
標準液の使い方と校正の仕方
PHメーターの校正に用いる標準液はいくつか種類があります。
フタル酸塩標準液、中性リン酸塩標準液、炭酸塩標準液、ホウ酸塩標準液といったものです。
国際標準化機構(ISO)や日本工業規格(JIS)でPHの測定方法が定められているので、対象物やケースなどに合わせて適切な校正を行いましょう。
PHの値の予想がつかない時
初めての計測でPHの値がまったく予想がつかない時は、中性のリン酸塩標準液に、酸性寄りのフタル酸塩標準液、アルカリ性寄りのPHが約9のホウ酸塩標準液か、PHが約10の炭酸塩標準液を用います。
中性、酸性、アルカリ性の標準液を用いて、3点校正を行うことが必要です。
PHの値が予想される場合
これに対して、測定したい対象物のPH値がおよそ予想される場合はどうでしょうか。
この場合の校正は、予想されるPH値を挟む2種類の標準液を用いる2点校正が基本です。
たとえば、PH5前後と予想される時には、PHが約4のフタル酸塩標準液とPHが約7の中性リン酸塩標準液を用いて2点校正を行います。
1種類の標準液のみを用いる1点校正は、基本的に推奨できません。
屋外での測定など速やかに測定したい時に用いられる簡易的な校正法です。
なお、標準液はそれ自体が扱いを慎重に行わなくてはならないものもあります。
また開封後、あまり使わず保管している間にも劣化が進み、当初予定されている中性の値からズレてくることがあります。
購入した標準液の保存方法を守って正しく安全に保存するとともに、開封後の使用期限なども守りましょう。
PHメーターの種類
PHメーターにもさまざまな製品が販売されていますが、形状で種類分けすることもできます。
よくあるパターンはハンディタイプ、コンパクトタイプ、土壌酸度計です。
ハンディタイプ
ハンディタイプは、コンパクトタイプに比べてやや大きめの計器で、卓上などに置いて使うタイプが多いです。
センサーがワイヤーの先端に付いているので、ワイヤーを伸ばして、対象物の中にセンサーを挿入して使います。
操作するボタンやPHを表示する部分は本体部分に付いています。
コンパクトタイプ
これに対して、コンパクトタイプはイメージとしては体温計のような形です。
計測器、表示部分と計測するセンサーが一体化しており、ハンディタイプに比べて小さくて持ち歩きもしやすいです。
液体を測定する際に活用しやすく、水槽の水や飲料水などのPH値を気軽に計測できます。
土壌酸度計
土壌酸度計は小型の本体に長い棒状のセンサーが付属し、土に挿して計測をするタイプです。
それぞれの種類により、計測できる対象物や計測しやすい対象物が異なります。
ご自身が計測したい対象物などに合わせて、種類を選ぶことが必要です。
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おすすめのポケットタイプpH計
コンパクトタイプのPHメーターとしておすすめなのが、佐藤計量器のポケットタイプpH計6416-00(SK-630PH)です。
精度の高い測定ができるよう、校正に便利な3点キャリブレーション機能が付いています。
なお、佐藤計量器ではフタル酸塩標準液、中性リン酸塩標準液、炭酸塩標準液、ホウ酸塩標準液を別売りしているので、必要に応じて一緒に購入しましょう。
温度25℃において、フタル酸塩標準液はPH4.01、中性リン酸塩標準液はPH6.86、炭酸塩標準液PH10.01です。
表示固定HOLD機能が付いているので、すぐに計測値が消える心配がありません。
一方、オートパワーオフ機能を装備しているので、一定期間操作しないと自動でオフされます。
防水規格JIS C0920 IPX4に準拠しており、防水性が高いので、濡れた手で持って使うことも可能です。
なお、飲食物を測定したい場合には、直接グラスの中やペットボトルの中に入れて計測しないようにしましょう。
衛生面や安全上の観点から、計測に必要な量を別の容器に取り出したうえで計測を行い、センサーを入れた飲食物は飲食せずに廃棄してください。
なおセンサー一体型なので、反応が悪くなることや先端部分が壊れても交換ができず、本体ごとの買い替えになります。
まとめ
PHメーターは熱帯魚の水槽や水耕栽培の水質、飲食物のPH値を調べたい時に便利です。
使用する際は標準液を用いて、校正することで精度の高い計測が可能です。
ポケットタイプpH計6416-00(SK-630PH)は3点校正ができる機能も付き、防水仕様で気軽に水質チェックや飲料のPH調査ができます。
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