ビニールハウスの温度管理を適切に行いたいと思っても、なかなか難しい場合も多いのではないでしょうか。
調節が簡単なように見えるビニールハウスの温度管理ですが、さまざまな要因が絡み難しくなっています。
こちらの記事では、ビニールハウスの温度管理の難しさの原因から負担なく続けられる管理方法まで解説していきます。
しっかりとモニタリングを行い、適切な温度管理に努めましょう。
ビニールハウスの温度管理の難しさとは?
一見ビニールハウスの中で野菜などを栽培する際、雨や風をしのげるため、温度管理がしやすく感じるかもしれません。
しかし、いざ野菜などを育ててみると思ったような温度が持続せず悩むケースも多いです。
なぜビニールハウスでの温度管理は難しくなってしまうのか、こちらで詳しく紹介していきます。
温度変動への対応が追い付かない
最近では地球の温暖化の影響もあり、夏はひと昔前よりも高い気温を記録することが増えてきました。
季節によっては、1日の中で20℃近くの寒暖の差がある日もあります。
ビニールハウス内は外の気温の影響を大きく受けやすいため、理想的な一定の温度を保つのは難しくなります。
適した温度を保てないと、作物に障害が出やすくなるなど、トラブルが発生してしまい支障が出てしまうでしょう。
熱源の制御が難しい
ビニールハウス内の温度を作物などに適した温度に保ちたい時には、適切な熱源制御をしなければなりません。
しかし、システムを使って温度を調節しても、朝から晩まで適切で一定に制御するのが難しいこともあります。
熱源の配置にも気を遣わないと、作物のある場所によっては上手に制御できずに枯れてしまう場合もあります。
適切な制御方法にすることも大切です。
通風と湿度管理が難しい
ビニールハウスの中で作物を元気に育てるには、風通しの良さと湿度管理も重要な要素です。
十分な通風を確保することで温度を調節し、湿度を適切に管理することができます。
しかし、通風設備や湿度制御装置の適切な設置や運用は、ビニールハウスのサイズや植物の種類によって異なる場合があり、調整が難しいことがあります。
外部環境へ依存してしまう
ビニールハウスは、外部の環境が大きく影響してしまう場合があります。
特に日光がさんさんと照りつけてしまうと、同じような気温でもほどよく雲がある時に比べて気温がグンと急上昇してしまうケースがあります。
あらかじめ予測していた気温の変化に合わせて制御を調節していたとしても、急な温度上昇で調整が困難な場合もあるのです。
そのままにしてしまうと、外部環境に負けてしまい、作物が枯れてしまうこともあります。
植物の要求への対応が大切
ビニールハウスで作物を栽培する場合、植物の要求に合わせて行わなければいけません。
どの植物でも同じ条件で元気良く成長していくとは限らず、できる限り涼しくしていないと育ちにくいものから暖かさを保っていないと枯れてしまうものまであります。
種類によって、最適温度は大きく範囲が異なる場合もあります。
さらに、植物によっては、成長段階を見ながら調節しなければなりません。
種を撒いたばかりの時と成長してきた時では育ちやすい環境が違う場合もあります。
そのため、温度を一度設定すれば終わりではありません。
成長に伴う変化や天候など外的変化に対応できるように、専門的な知識や経験を持った継続的なモニタリングと調整が大切です。
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ビニールハウスを無理なく負担なく続けられるモニタリング方法とは?
作物を安全に育てられるように、しっかりと継続してモニタリングをすることが重要です。
しかし、ずっとモニタリングを人の手だけで行うのは限界があります。
効果的で継続的にモニタリングしたい場合には、いくつか方法があります。
ここからは、ビニールハウスで無理なく負担なく続けられるモニタリング方法について紹介していきますので、ぜひ取り入れてみてください。
CO2センサーの使用
植物は光合成を行っていますので、二酸化炭素が少なくなりすぎても支障が出てしまいます。
ビニールハウス内で二酸化炭素は一定の量を保たなければいけない場合は、CO2センサーを活用しましょう。
風の通り道が甘く十分に換気ができそうにない場合も、こまめに適切な二酸化炭素の量になっているのか確認することが重要です。
温度センサーを使用する
温度はその時間や気候などで変化するため、ビニールハウス内に温度センサーを設置しておくと良いでしょう。
異常な温度になった場合、感知をしてくれて、すぐに知らせてくれます。
センサーはしっかりと感知できるように、適切な箇所に設置しなければなりません。
データをリアルタイムで感知してモニタリングできれば、変化にすぐ対応できます。
湿度センサーの使用
温度と同じように、ビニールハウス内の湿度も重要です。
湿度センサーを設置すれば、どんな風に変化したのか異常がわかります。
データを見ながら、湿度が足りない時には加湿をするなど、対策を採れるようになって便利です。
飽和水蒸気の量に対して、空気中に水分量がどの程度入っているのかを見て値を出しています。
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光センサーの使用
光が足りないと、作物をしっかりと成長させたいと思っても、不作に終わってしまいやすくなります。
そのくらい作物には光が重要のため日射センサーの活用がおすすめです。
数値を確認しながら、光が足りない時には可視光を当てることができます。
センサーを導入することで最適な光合成ができる環境を作ることが可能になります。
光を当てる時のコツは、ダイレクトに当てるよりも光を拡散させると良いでしょう。
逆に真夏など照りつけるような日光の場合、逆に光が強すぎて作物が焼けてしまう場合もあります。
この時には、遮光資材を活用しても良いでしょう。
強すぎる日ざしを避け、葉などが焼けるのを防げます。
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三弘 PV日射センサー PVSS-03
IoTを活用して効率的に日射量の測定ができます。
制御システムへつなぐのも簡単で、使いやすいのも特徴です。
水やりモニタリング
作物の水分量も成長には重要ですので、しっかりとモニタリングをしなければなりません。
せっかく良い状態で成長していても、水やりが足りないと元気がなくなり枯れやすくなります。
どの程度の水分を保っているのか調べるには、土壌の湿度センサーや水位センサーを活用しましょう。
効率的に管理できるようになり、適切なタイミングで十分な水をあげられるようになります。
自動制御システムの導入
ビニールハウスをモニタリングしつつ、制御を自動化することも考えておきましょう。
センサーのデータを基にした自動制御システムを導入することで温度、湿度、光、水やりなどを自動的に調整することが可能です。
これにより、効率的な管理と負荷の軽減が期待できます。
自動制御システムの運用中は、モニタリングで得たデータを可視化することも大切です。
ビニールハウスの状態に関する傾向や分析でき、今後の効率的な栽培のヒントを得られる可能性があるからです。
可視化がしやすいように、グラフやチャート、モバイルアプリケーションの活用をすると良いでしょう。
こちらで紹介した方法を組み合わせれば、ビニールハウスのモニタリングを効果的に行い、無理なく負荷を軽減しながら持続可能な栽培環境を維持することができます。
まとめ
ビニールハウスは、予期せぬ温度上昇や湿気、光環境の悩みが出てきやすく適した環境を一定に保つのは難しいものです。
そのためにも、モニタリングをしっかりと行い栽培環境を最適化することは重要です。
どこに問題が起きたのかセンサーで感知し、自動的に調整することも可能になります。
正確なデータをもとにした適切な管理は、効率的で持続可能な作物づくりに役立ちます。