わざわざお金を払ってゴルフレッスンを受ける目的といえば、プロやインストラクターからの一人ひとりに即した的確なアドバイスです。
もっとも、言葉だけでは伝わりにくいことも少なくありません。
自分のスイングがどのようになっているのかは、見ることができないとわかりにくく、クセがなかなか治らずに悩んでいる方はいませんか。
一方で、有名なプロがいないゴルフスクールでも、メキメキとスコアが上がっているといった人も少なくありません。
その秘密は、実は光学式モーションキャプチャ技術を使った最新のゴルフレッスンにあります。
この記事では、最新ゴルフレッスンで活用されている光学式モーションキャプチャ技術とはどんなもので、どんなことがわかり、スイングがどう変わるのかをご紹介していきます。
近年のゴルフレッスンのアドバイス法
かつてのゴルフレッスンといえば、プロのお手本を見て真似ることやスイングをインストラクターが観察してアドバイスをくれるのが基本でした。
近年では、ビデオカメラが設置され、動画を撮影して、その場でプレイヤーとインストラクターが一緒に確認し合ってアドバイスを送る形にシフトしています。
さらに、最近はビデオカメラを使った設備を導入していなくても、スマホやタブレットなど気軽なアイテムで動画撮影をして、アドバイスを送るケースが増えてきました。
高画質なカメラが付いたスマホや画面が大きく見やすいタブレットの普及で、高額な設備などが導入できないゴルフスクールでも、撮影した動画を見ながらのアドバイスが可能になっています。
もっとも、この方法は手動なので限界もあります。
撮影する範囲や撮影の仕方で映し出せる範囲は異なりますし、一瞬のスイングの動きを細かく分析することはできません。
体の使い方や動きについても、人間の目には限界があるので、1つの部分に集中すれば、ほかの部分の動きは見えにくくなるなど、分析にも限界が生じます。
また、プロやインストラクターの分析力にも差があるので、精緻な分析ができないと、いかに動画をチェックして的確なアドバイスがもらえないおそれもあります。
さらに、アドバイスを受けた後にスイングをした動画と見比べても、「何となくよくなった気がする。」一番目立って変わった部分だけでよく見えてしまうなど、感覚的なものになりがちです。
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一歩先行くゴルフスイング解析によるアドバイス
目視によるアドバイスから、ビデオカメラやスマホ動画などを使った動画を用いたアドバイスにより、わかりやすさは増しました。
ですが、属人的になることや感覚的になり、ゴルフの素人からするとわかりにくさは否めません。
なんとなくわかった、なんとなくそうかもしれないといった感覚的なアドバイスを、より正確にしてくれるのがゴルフスイング解析システムです。
スイングに関するさまざまなデータを数値化してくれるので、分析の精度が増し、的確なアドバイスを受けることができます。
数値を理解して分析できる技術があれば良いので、有名なプロや熟練のインストラクターでなくても、的確なアドバイスをしやすくなるでしょう。
教える人によって差が出ることが少なくなり、属人的、感覚的なアドバイスからの脱却が期待できます。
どのようなデータを数値化して、見える化してくれるのでしょうか。
たとえば、以下のようなデータの計測が可能です。
クラブの打点やスピード、軌道、ロフト、ハンドファーストといったクラブデータを確認できます。
軸の傾きや横移動量も計測できるので、体の各パーツの角度や傾き、移動量もチェックできるようになります。
腰と胸の回転角度がわかるので、体のねじれ具合の確認が可能です。
スイング比較もでき、自分の以前のスイングをはじめ、プロのスイングと数値的に見比べて正確な差や改善の度合いが把握できます。
キネマティックシークエンスも計測可能です。
キネマティックシークエンスとは、スイング中の腰、胸、腕、クラブの角速度をグラフで確認することで、これによってスイングのきめ細やかな流れを細かく調整するアドバイスがもらえます。
肩と左腕の角度、左腕とシャフトの角度の変化も計測できるので、体と腕の調和を確認できます。
インパクト前後の入射角度、ロフト、フェース向きの変化の確認も可能です。
スイング中のシャフトのスピードと縦しなりや横しなりも数値で把握できるようになります。
体の各パーツの関節の動きも3Dグラフィックで確認できるなど、ビデオカメラやスマホ動画とは異なり、見た目の動きだけでなく、本来見えない体の内部や骨の動きまでわかるのが大きな違いです。
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解析を可能にした光学式モーションキャプチャ技術
スイングの動きから体の内部構造の動きまで数値化してしまう技術として、光学式モーションキャプチャが使われています。
光学式モーションキャプチャは130万画素、240Hzのカメラ8台を使用した計測システムで、スイングを多方向から3Dで測定して分析することが可能です。
これによってスイングの軌跡、インパクト位置やフェース面の状態、ヘッドスピード、シャフトしなり、フェース方向、クラブ軌道などフルスイングのデータとボディトラッキングのチェックを同時に行うことができます。
このシステムを使うには、反射マーカーが付いたベストやキャップなど、頭の上からつま先まで、全身にセンサーを付けた状態で、ゴルフスイングをすることが必要です。
すると、高画質カメラ8台が撮影を行ったうえで、1スイングあたり600枚以上の画像を解析することができます。
グリップとヘッドの両方が追跡できるので、シャフトのたわみまで計測できるのです。
1回のスイングと体の動きを細かく分析できるだけでなく、過去のデータと横に並べて比較することも可能です。
プレイヤーの過去の動画データと同期し、時系列で改善のプロセスを比較することやスイング方法の違いをワンフレームずつ比べられます。
収録されているプロやインストラクターのデータと比較することや有名な大会のツアーアベレイジの平均データなどと比較することも可能です。
映画やアニメーション、ゲームなど映像制作の分野や人体運動分析やリハビリテーション、ヒューマノイドロボットの動作研究や車や住宅機器のユーザビリティ評価など、バイオメカニズムを中心に使われてきた光学式モーションキャプチャ技術を、ゴルフスイングの分析専用の機器として開発したものです。
プロのパフォーマンスアップやゴルフスクールでのアドバイス、ゴルフメーカーでの開発やゴルフ用品店でのゴルフクラブフィッターなどに活用されています。
まとめ
最近のゴルフレッスンでは、ビデオカメラやスマホで動画を撮影し、それを見返しながらのアドバイスやビフォーアフターのチェックなどが行われるようになりました。
ですが、あくまでも動画を見てのアドバイスなので、属人的かつ感覚的なものとなり、細かい部分まで解析できず、改善に結びつきにくいのが課題です。
光学式モーションキャプチャ技術を用いた最新ゴルフレッスンでは、1スイングで600枚以上の画像解析ができ、スイングの細かな動きから体の使い方まで数値化できます。株式会社三弘でも産業用としてモーションキャプチャーを取り扱っております。
データで比較できるので、属人的、感覚的なものではなく、科学的見地に基づく的確なデータで可視化が可能となります。