宇宙は私たちを常に取り囲んでいるものです。
空を見れば星々が輝いていたり、月がのぼっていたりしますが、あれらはすべて宇宙のものです。
一見遠いように思える宇宙ですが、実は近年急速に宇宙産業が進んでおり、私たちにとっては身近な存在になりつつあります。
今回は、宇宙産業が取り扱っている事業をさまざまな側面から見ていきましょう。
宇宙産業って何?
普段テレビを見ていると、時々NASAがスペースシャトルを打ち上げた、といったニュースを見ることがあります。
中には日本人の宇宙飛行士が混じっていることもあり、話題になるのですが、何気なく接しているこうした事業も実は宇宙産業に含まれます。
こうした宇宙産業がカバーする事例は幅広いです。
まず宇宙へと打ち上げる飛行船を地球上で製造することも宇宙産業と言えます。
また、私たちのスマホなどにはGPSという機能が付いていますが、あれは宇宙に打ち上げられた衛星をもとに成り立っている技術です。
衛星を使って成り立っている事業もまた宇宙産業に含まれるでしょう。
さらに、最近では専門の宇宙飛行士だけでなく、一般人も宇宙船に乗って旅行ができるようになりましたが、あれもまた宇宙産業と言えます。
このように、宇宙をもとにした産業はすべて宇宙産業なのです。
宇宙産業の歴史
人類は、古くから宇宙に関心を向けてきました。
空に浮かぶ星々の運行を観察したり、それをもとに占いをしたり、地球以外の惑星を見つけたり、といった具合に宇宙は常に興味を沸き立たせる世界だったと言えるでしょう。
当然ながら、可能ならばいつか宇宙に行きたいと願う人も多く存在しました。
そんな人々の研究の蓄積は、20世紀になるとようやく実を結ぶようになります。
1957年、ソビエト連邦がスプートニクという人工衛星を打ち上げました。
これによって、地球上から飛行物体を宇宙にまで到達できることが証明されたのです。
これに気を良くしたソ連はさらに4年後、人を乗せた宇宙飛行まで成功させます。
当時ソ連と対立していたアメリカは負けじと宇宙開発に力を入れるようになりました。
結果、1969年にはアポロ12号を打ち上げ初めて月面着陸を成功させます。
もちろん、こうした開発競争は冷戦にもとづいた意地の張り合いだった面が否めません。
人類の発展を目指していたというよりも、どちらの国が優れているか、という喧嘩だったとも言えるでしょう。
とはいえ、こうしたさまざまな達成が人々に夢と希望を与えたのも事実です。
それ以来、ソ連やアメリカ以外の国でも宇宙開発が進められるようになりました。
1989年に冷戦が終結するようになると、ロシアとアメリカの研究者たちが協力できるようになり、世界規模での宇宙産業が進められるようになります。
宇宙産業を発展させることでどんなことができる?
ここまで、宇宙産業の概要を説明してきました。
とはいえ、中にはいまいち宇宙産業のメリットがわかりづらいという人もいるかもしれません。
先ほども述べたように、最近では一般人も宇宙旅行ができるようになってきていますが、そのためにかかる費用は莫大なものになってしまいます。
現状では、よほどの大金持ちしか宇宙旅行はできず、庶民には夢のまた夢と言えるでしょう。
そのような中で、宇宙産業が発展することによって私たちにどんなメリットがあるのでしょうか。
まず思いつくのは、宇宙から眺めることでしか見ることのできない地球の様子を知ることができるという点です。
たとえば、普段私たちはニュースやアプリなどで天気予報を見て、明日は晴れるかもしれないといったことを知れます。
こうした天気予報ができるのも、ひとえに宇宙が開発されているおかげです。
地球上から見られる雲の数には限界がありますが、宇宙から見ればどこに雲があるのか、どういった流れで海や大陸を渡っているのか、といったことが一目瞭然です。
このように、地球にいるだけではわからない情報を知ることが宇宙産業のメリットと言えるでしょう。
宇宙産業はいいことばかりではない?
私たちに多くの恩恵を与えてくれる宇宙産業ではありますが、一方でリスクも見逃してはいけません。
まず、宇宙開発にかかる費用は莫大になってしまいます。
たとえば、毎年のようにNASAから打ち上げられているスペースシャトルにはどれくらいのコストがかかっているかご存知でしょうか。
まず、スペースシャトルの全長は50mにも及びますから、それを作るための材料費や工賃がかかります。
さらには、スペースシャトルを打ち上げるためのロケットも作らなければいけません。
もちろん、それを動かすための燃料となる液体水素や液体酸素なども大量に調達する必要があります。
これらすべてを合わせると、NASAによると1回あたり100億円以上の予算がかかっているとのことです。
さらに、ゴミの問題も忘れてはいけません。
使われなくなった人工衛星や打ち上げの過程で出たロケットの破片などは宇宙に放置されたままです。
加えて、宇宙船に乗り込んだ人々によって捨てられたゴミも宇宙に浮かんでおり、これらはスペースデブリと総称されています。
地球上に住んでいるとスペースデブリは見えませんが、やはり将来的なことを考えると、こうしたゴミは環境問題になってくることが否めません。
宇宙産業の応用事例
かつては、宇宙開発をすることによって人類にどんなメリットがもたらされるのか、と懐疑的な目が向けられていました。
しかし、時間が経つれてさまざまな業界で宇宙開発をもとにした産業が成り立つようになっていきます。
実は、普段私たちが何気なく使っているものにも宇宙開発をきっかけとして発明された技術が活かされている例が少なくありません。
たとえば、フリーズドライ製法などはその最たるものです。
一度スープを作り、それを急速で冷凍して固形にした後、お湯にかければ元に戻るという仕組みですが、これはそもそも宇宙食を作るために開発された製法です。
宇宙空間は無重力のため、液体などはすぐに空中に浮かんでしまうので、スープなどは普通持ち運べません。
それでも、宇宙飛行士たちに温かいスープを飲んでもらいたいという思いから作られたのがフリーズドライ製法なのです。
農業も宇宙から行える時代に!?
そのほかの応用事例としては、宇宙から農地を眺めることで農業をより効率的に進められないだろうか、という発想があります。
たとえば、米などが現在どれくらい育っているかは、通常ならば一つひとつの田んぼを目視で確認しなければいけません。
持っている田んぼの面積が少ないならともかく、多くの農地を抱えている農家にとっては重労働でしょう。
そこで、宇宙衛星から撮影した画像をもとに作付け状況を見極め、今どのくらい育成が進んでいるか、といったことを農家に教えるサービスが展開されています。
こうした技術はほかにも、土壌の分析や農地のパトロールなどにも活かすことができます。
特に近年は農業に携わる人が減っています。
そのような中で、農家の労働を少しでも減らし、効率良く農作物を育てるためにも宇宙の力は欠かせません。
以下、宇宙産業を応用した農業への活用サービスですので、ぜひ参考にしてみてください。
耕作放棄地がひと目で分かる農地パトロールアプリ アクタバ
作付け調査をもっとカンタンに デタ
農地の状態を見える化し全ての農地をラクラク管理! Sagri
まとめ
これまで宇宙産業はコストがかかるため国家規模で行うのが一般的でした。
しかし、今となっては国家をも凌ぐ大企業が増えたことで、宇宙産業への参入が進み、急速に進化が進んでいます。
今回紹介した宇宙産業の応用事例はあくまでも氷山の一角にすぎません。
今後も、私たちの生活を豊かにしてくれる開発が行われる可能性は十分にあるでしょう。