ダイヤルゲージは、機械加工やモノづくりなどの現場で用いられている測定器です。
アナログ式時計のような丸い目盛り板が付いており、長針や短針の位置を確認して、数値を読み取ります。
初めて触れる方の中には、ダイヤルゲージの読み方がわからないという方もいるかもしれません。
そこで、本記事では、読み方のポイントをわかりやすく解説していきます。
そもそもダイヤルゲージとはどのような器具なのか?
ダイヤルゲージは、対象物の平行度、平面度、同芯度などを測定する際に用いる計測機器です。
英語では、「Dial gauge」と表記します。
このダイヤルゲージは単体で用いるのではなく、測定治具や精密機器などに取り付けた状態で使用するのが一般的です。
ダイヤルゲージの種類
ダイヤルゲージは、「スピンドル式ダイヤゲージ」や「てこ式ダイヤルゲージ」などといった種類があります。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
スピンドル式ダイヤゲージ
スピンドル式ダイヤゲージは、ダイヤルゲージの標準型となっており、スピンドルの直線運動を計測します。
測定範囲を長くできるのが特徴です。
てこ式ダイヤルゲージ(テストインジケータ・ピックゲージ)
てこ式ダイヤルゲージは、てこの原理を採用した構造となっており、穴や溝などの測定も行えます。
「テストインジケータ」や「ピックゲージ」などの名称で呼ばれることもあります。
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ダイヤルゲージの使い方と読み方のポイント
ここからは、ダイヤルゲージの読み方を解説していきます。
ダイヤルゲージの読み方のポイントは、「短針」と「長針」です。
これらの2種類の針が示した位置を読み取り、簡単な計算をすることで、正確な数値を導き出すことができます。
コツさえ掴んでしまえば、誰でもすぐに読み取れるようになりますので、あまり難しく捉える必要はありません。
1.測定の前にダイヤルゲージを正しくセットしておく
最初に、ダイヤルゲージが正しくセットできているかどうかを確認しておきましょう。
きちんとセットできていない状態で測定すると、正確な数値が把握できなくなってしまうからです。
ダイヤルゲージをスタンドに取り付ける際には、被測定物に対して直角になるように設置してください。
使用するスタンドは、マグネットベース、ハイトゲージ、コンパレータースタンドなどがあります。
また、ダイヤルゲージを設置する際には、スタンドのアーム部分の距離をあまり長く取らないように気を付けましょう。
2.測定基準の設定
ダイヤルゲージをスタンドに取り付けしたら、次は測定基準の設定を行います。
ダイヤルゲージの測定子と基準物が直角になるように配置したら、長針の数値が0になるようにスタンドの高さを微調整してください。
長針が0の位置でぴったり止まったら、基準物を取り外しておきます。
3.測定対象物を設置
測定する対象物をダイヤルゲージの測定子の下へ設置します。
その際には、測定子に対して強い衝撃を与えないように注意してください。
4.ダイヤルゲージの短針の数値を読む
短針は、短い針のことです。
短針では、1mm以上の数値が読み取れます。
短針の目盛りが50個振られているダイヤルゲージならば、最大で50mmまでの読み取りが可能です。
たとえば、短針の目盛りが「35」を指していたのであれば、「35mm」ということになります。
この短針の数値を覚えておきましょう。
5.ダイヤルゲージの長針の数値を読む
次に、ダイヤルゲージの長針の数値を読んでいきます。
長針は、長い針のことです。
長針の1周は1mmとなります。
つまり、長針を見ることで、1/100mm単位で1mm以下の数値を読み取ることができるのです。
たとえば、長針の目盛りが「72」を指していたのであれば、「0.72mm」ということになります。
6.短針と長針の数値を足し算する
最後の段階では、短針と長針が示した数値を足し算します。
短針の目盛りが「35」、長針の目盛りが「72」を指していた場合には、計算式は以下の通りです。
35mm(短針)+0.72mm(長針)=35.72mm
つまり、測定値は、「35.72mm」ということになります。
測定値を求める際には計算ミスに注意しよう!
ダイヤルゲージの読み方は、短針と長針の数値を足し算するだけなので、それほど難しくはありません。
単純な数式ですので、暗算で測定値を求めることも可能でしょう。
ただし、うっかりミスをしないように注意が必要です。
計算を間違えてしまうと、せっかく測定しても正確な数値を求めることができません。
ダイヤルゲージの読み方がわからない時はデジタル式を使うのも手!
ダイヤルゲージには、「アナログ式」と「デジタル式」があります。
ここまでお伝えしてきたのは、アナログ式ダイヤルゲージの読み取り方です。
アナログ式ダイヤルゲージは、測定値を求める際に、短針と長針の両方の数値を読んだうえで、さらに計算もしなくてはなりません。
この計算作業が面倒だと感じる方もいるのではないでしょうか。
中には、算数や暗算などが苦手だという方もいるかもしれません。
そのような時には、デジタル式ダイヤルゲージを使ってみると良いでしょう。
デジタル式ダイヤルゲージの特徴
デジタル式ダイヤルゲージは、液晶ディスプレイを搭載しているのが特徴です。
アナログ式ダイヤルゲージのように、短針と長針などはありません。
測定を行うと、その結果がすぐに数値として液晶ディスプレイ上に表示される仕組みとなっています。
計算不要で測定値を知ることができるのがデジタル式ダイヤルゲージのメリットです。
使い勝手が良くて、初心者でも気軽に扱えることから、近年はアナログ式ダイヤルゲージよりも、デジタル式ダイヤルゲージの方が主流となりつつあります。
ダイヤルゲージは「アナログ式」と「デジタル式」のどちらが良いのか?
ダイヤルゲージを選ぶ際に、「アナログ式」と「デジタル式」のどちらにするのかで迷う方もいるかもしれません。
「アナログ式」と「デジタル式」のどちらもメリットとデメリットがありますので、使用シーンも考慮したうえで使いやすいほうを選ぶと良いでしょう。
測定値を素早く読み取りたいのであれば、デジタル式ダイヤルゲージがおすすめです。
少し時間がかかっても良いので、自分の目で数値を読み取りたいという方は、アナログ式ダイヤルゲージを選んでおくと良いでしょう。
ただし、デジタル式ダイヤルゲージは、乾電池が必要です。
電池が切れると動作しなくなってしまいます。
バッテリー切れの心配をしたくないならば、アナログ式ダイヤルゲージがおすすめです。
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ダイヤルゲージについてのまとめ
ここまで、ダイヤルゲージの読み方のポイントについてお伝えしてきました。
ダイヤルゲージは、対象物の平行度、平面度、同芯度などを正確に測定できる機器です。
「スピンドル式ダイヤゲージ」や「てこ式ダイヤルゲージ」などの種類にほかに、「アナログ式ダイヤゲージ」や「デジタル式ダイヤゲージ」などのタイプもあります。
アナログ式ダイヤルゲージを用いる際には、短針と長針が示した数値を足し算することで測定値を求めることができます。
デジタル式ダイヤルゲージは、短針と長針がないため、液晶ディスプレイに表示された数字を見るだけで、測定値を読み取ることが可能です。
両者の特徴やメリット・デメリットなどを把握したうえで、使いやすい方を選んでみてください。